思えば、DITワークショップは、2013年に奇跡の一本松で知られた岩手県陸前高田市で、震災の混乱期で奮闘しつづけるたくさんの先輩経営者たちの背中に勇気をもらい、小さな芽をだしました。岩手や宮城での集会所の再建の取り組みを終えたのちは、地域材を使った家具キットの開発などに挑戦し、試行錯誤をしつづけてきました。途中で自分たちの進むべき道がわからなくなり、藁をも掴む気持ちの参加させてもらった「社会起業塾（運営：ETIC.さん）」というプログラムではめざす「太陽」を見つけることができました。

その後、京都で、働くを彩るを掲げるウエダ本社の岡村充泰社長と出会い、お会いしたその日のうちに、今もつながる大切な京都の仲間たちに引き合わせていただいたのが忘れられない出来事として心に残っています。京都のあたたかい土壌と良質な問いをいただけるメンターの皆さんに助けられ、全国でDITに取り組むためのモデルが確立されていったと思います。そんな最初のきっかけをくれた株式会社ウエダ本社さんに、10月1日より「DITワークショップ事業」を引き継いでいただけることになりました。ご縁の有り難さを感じています。

津波で流出した集会所を住民とともにセルフビルドで再建するというワークショップから始まり、TEDxでアイデアを語らせてもらい、全国各地で300回以上、1000人を越える方々に参加してもらったDIT。「ともにつくる時間を通じて豊かな関係性を暮らしのなかに１つでも多く増やしていけるように」という願いは変わらず、今後は、ウエダ本社さんのもとで一層の事業拡大に向かっていければ嬉しいです。

今回は事業譲渡で、会社はそのまま残りますし、今後のこのウェブサイトでワークショップのお知らせは発信していく予定です。また、すでに相談をいただいているプロジェクトや動いている案件については、10月1日の事業移管完了後も、当面は私もウエダ本社の皆さんと一緒になって、取り組ませていただきます。なので信頼できるパートナーとの協業がさらに深まったという感覚でもあります。

「ともにつくるワークショップ」という機会を通じて、社会に生み出したい価値の共創をしてくれた依頼者、参加者、インストラクター、連携先。社会価値の創造へのチャレンジを支えてくださったすべての皆様に、心より御礼申し上げます。引き続きDITを、ご愛顧賜りますようお願い申し上げます。